こんにちは。トッティです。

夏は20:00の日暮れが今では18:30になったり、渡り鳥のサシバがダイビングポイント上空を舞っていたり、朝の通勤時に車のエアコンを使わなくなったり、ウエットスーツの衣替えをしたりと、紅葉は無い宮古島でも移りゆく季節を感じます。

そんなことを考えていたらもう11月!!2016年もあと2か月ですね。

STAFFみっちゃんのインストラクター試験が控えてたり、NEWスタッフが11月から加入するので準備をしたりと、BIGHOLIDAY的にはまだまだイベント盛りだくさん。

2016年、まだまだ楽しんで行きましょう!

ついに最終回。サンゴ大白化現象の結末

2014年から始まり2016年9月に収束をしたエルニーニョ現象ですが、特に2016年の今年は9月中旬まで沖縄近海に台風が全く来ないという異常事態。しかしこれがエルニーニョ現象の典型的なパターン。

エルニーニョ現象2016|サンゴの危機を見届けよ
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夏場に浅い場所の海水が太陽光で温められて30℃を超えるのは毎年のこと。その状態を解消してくれるのが初夏から定期的に訪れる台風の役割。

外洋から冷たい海水を巨大なパワーで運んできます。それが沖縄近海にぶち当たり、温められた浅場の水温がある程度下がることで、高水温状態を緩和してくれる。

台風が来ない限り、高水温状態はさらに加速していく。やがてサンゴの核である褐虫藻がその温度に耐えきれず、サンゴ本体から離脱してゆく。

光合成をしてエネルギーを送ってくれた褐虫藻はもういない。そうなるとサンゴの骨格(炭酸カルシウム)が透けて真っ白に見える。これが【サンゴの白化現象】と言われている現象です。

8/24定点観察開始と、エルニーニョ現象収束後10/16の比較

佐和田ラグーンというポイントは環礁のような環境で、水深が-3m前後で発育が良くサンゴの綺麗な群生がたくさんありました。ここはもともと水が入れ替わりにくいことから影響が顕著に出るのではとの予想に基づき定点観察ポイントとして定めました。

特に高水温の影響を受けやすいミドリイシ科の”通称:枝サンゴとテーブルサンゴ”の4か所を選定。

8/24時点でのサンゴの状態

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この時点ですでに白化しています。このサンゴはもともと濃い緑色。しかし色が抜けたから死んでいるかと言うとそうではなく、水温が下がればまだ息を吹き返す可能性が残っている状態。

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薄い青色の部分ですが、この時点では『この青色もきっと真っ白に・・』と予測していましたが、実際はこれ以上の色の変化はありませんでした。

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それにしても本当に綺麗なサンゴの群生地。ランチ休憩に度々使用する場所で、地形ダイビングのスリルの後の癒しとしてシュノーケリングで楽しんでもらっていました。

このエリアには8/24時点で枝サンゴ、テーブルサンゴ共に元気な時の色のサンゴは一つも無く、そしてその後もほとんど色の変化が無かった事から、この時点での白化レベルとしては90%以上の状態であったと考えられます。

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そして写真中央部分の青色が濃いサンゴのほんの一部分、薄い茶色になっているのが分かりますでしょうか。この時すでにラストステージへのカウントダウンが始まっていたのです。

先ほども書きましたがこの時点ではまだ白化が進むと考えていましたが、それは違いました。

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【藻】の侵攻が始まっていたのです。『完全に白くなったサンゴから藻がつき始めると思い込んで』いましたが、経過観察を見ると藻が攻め込んでいるのはどれもまだ色の付いているサンゴばかり。

真っ白なサンゴには見向きもしないように見えるほど。

ここで考えられる仮説としては

  • 色が付いていてまだ元気に見えるサンゴも実は完全白化していた
  • 藻的には、完全白化サンゴはいつでも余裕で侵食できるので、”ギリギリで勝てる”弱ったサンゴから狙っていた

しかし、色が付いている状態で完全白化していたとしたら、色の残ったままのサンゴだけが狙われる現象は説明がつかないので後者の説が有力ではないかと考えています。

そして経過観察するごとに藻は色を濃くしながら侵食エリアを拡大していくこととなります。

9/17に今季初の台風で水温が下がる。サンゴが復活し始め、藻の侵攻を食い止め、跳ね除けるというストーリーを期待する。

10/16時点でのサンゴの状態

9月中旬から3週連続で堰を切ったように台風が宮古島近海に訪れ、水温が27℃まで低下。もしかしたらと思いながら台風明けに訪れた10/16。

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突きつけられた現実。

半ば放心状態で観察していたサンゴを泳いで見て周っている最中、数年前にオニヒトデ大来襲で壊滅したポイントを目の当たりにした時の感覚を思い出す。

『これが自然だ』と思うしかない。

初めは薄い茶色だった藻は真っ黒に。完全な死を意味する色。観察していた4か所のサンゴだけではない。佐和田ラグーンの広大な面積に群生していた全てのサンゴ。高水温に強いキクメイシ科のサンゴは生きているものも多いが、枝サンゴとテーブルサンゴは全滅。

衝撃の結末には続きがあります

これで終わりと思いきや、まだ続きがあります。ますは高水温の原因であるエルニーニョ現象の発生原因ってなんなんだろう??

エルニーニョ現象について調べてみました

「貿易風が弱まることで暖水と冷水の海中の偏りにも変化が引き起こされる」とあり、解説が難しすぎてかボクが阿呆だからか、まあよくわからないですが、貿易風が弱まる原因が根本的原因となりそうです。

海流と大気のバランスが【何かの力】によって崩れて貿易風が弱まる模様。

その【何かの力】とは月の引力によって引き起こされる潮汐力がもたらす乱流だそうで、月軌道18.6年振動(18.6年に一回の特別な月の軌道)が大元の原因であると現在は考えられているそうです。

エルニーニョ現象は今回2014〜2016年、前回1996〜1998年、前々回1972〜1973年。約20年に一度のデータの裏付けがこの理由だそう。

そのデータから考えられること

つまり周期的にエルニーニョ現象が起こり、サンゴは太古から破壊と再生を繰り返してきたという事実。宮古島自体は約1万5千年前にでき上がった隆起珊瑚礁の島。そのスパンで見れば20年に一度で計算すると750回もエルニーニョ現象を経験していることになる。

今回のエルニーニョ現象による白化現象でかなりの規模のサンゴが死滅しています。しかし、絶滅するには程遠いくらいのサンゴが生き残っている事もまた事実。

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サンゴは春になると一斉にたくさんの卵を産みます。

佐和田ラグーンの枝サンゴとテーブルサンゴは全滅していたとしても、春になれば他の場所から複雑な海流に乗って枝サンゴとテーブルサンゴの卵もおそらく流れてくるでしょう。流れ着いたサンゴは数日で着床。

再生への長い旅が始まります。

台風でボッキボキに折れたサンゴたちの断面は白いのですが、5日もすれば断面はもう色が付いています。私たちはサンゴの強さを知っています。

サンゴを棲家としていた青いデバスズメダイたちも一時はいなくなりますが、きっとまた戻ってくる。

再生が速いエリアで元通りになるまで約10年と言われています。そう考えたらボクもまだ現役でガイドしてるかも。してるかな。していたいな。今回のエルニーニョ現象リポートはこれにて一旦終了ですが、引き続きランチ休憩にたまには行くので一年に一回くらいはリポートしていこうと思います。

ここ1〜2年ではおそらく変化はあまりないかもしれないけれど、5年、6年、7年と経ったら目に見えて変わっているかもしれない。

これは終わりではなく、始まりなんだと思う。私たちは2016年を忘れない。

いちダイビングショップのブログの力なんて微々たるものだけど、それでもせめて見てくれているアナタに伝えたい。自然の儚さと力強さ、そして偉大さを。

だからこれからも見守り続けます。

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いつの日か。またこの景色に逢えますように。

 


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