沖縄・宮古島の海域は遠浅でサンゴ礁が広がっており、多様な生物たちが暮らしています。
今回はそんな生物の中でも「オオテンジクザメ」にスポットを当ててご紹介していきましょう。
オオテンジクザメがどのような特徴を持っていて、どんな生態なのか詳しく解説していきます。
■オオテンジクザメとは?
オオテンジクザメとは、テンジクザメ目コモリザメ科の一種です。
インド太平洋などに生息しており、形はコモリザメなどによく似ています。
オオテンジクザメの大きな特徴と言えば鋭く尖った背ビレと鎌のような形をした胸ビレです。
この2つのヒレはコモリザメとも異なる部分なので、見分ける時の判断材料に使えるでしょう。
国際自然保護連合(IUCN)が作成した、絶滅の恐れがある野生生物をまとめた「レッドリスト」にはオオテンジクザメも掲載されています。
絶滅危惧カテゴリの「危急(VU)」に分類されており、絶滅する危険性が高いと判断されているのです。
危急に分類されてしまった理由としては、漁獲の圧力が高いことや、繁殖力が低く乱獲されてしまうと回復までに時間が掛かってしまうことが挙げられます。
また、生息地のインド太平洋では生息地の環境破壊が起こっていたり、毒や爆発による漁業が行われたりしていることから、インドやタイなどの限定的な地域でオオテンジクザメの減少や絶滅が相次いでいるようです。
ただし、オーストラリアでは漁獲対象から外れていることから、「軽度懸念」という低危険種に分類されています。
■オオテンジクザメの生態
続いて、オオテンジクザメの生態についてご紹介しましょう。
オオテンジクザメは昼間に活動せず、基本的には夜に動きが活発になります。
比較的大人しいサメで、海中の岩棚などに集団で休んでいる様子も見られます。
また、一匹一匹でそれぞれの休むポイントを持っており、毎日その場所まで戻ると言われています。
オオテンジクザメの珍しいポイントは、タコを捕食しているということです。
サメの種類の多くは魚やカニ、イカなどを食べています。
ただ、オオテンジクザメはタコだけを食べているわけではなく、他にも甲殻類やイカ、小魚なども食べられます。
ゆっくりとした動きで移動するオオテンジクザメは、海底付近を移動しながら獲物を探しています。
穴があるとその中に獲物がいないか頭を入れて探し、いた時は咽頭を開いて陰圧を高め、吸い込んでしまうのです。
■ダイビング中にオオテンジクザメと遭遇したら?
オオテンジクザメの主な生息地はインド太平洋になりますが、オーストラリアや日本でも姿を見ることができます。
特に、沖縄や宮古島の海域に生息しているため、運が良ければダイビング中にオオテンジクザメと遭遇することもできるでしょう。
オオテンジクザメはサメの一種ということもあり、襲ってこないか不安になる方も多いのではないでしょう。
もしダイビング中にオオテンジクザメと遭遇しても、慌てる心配はありません。
オオテンジクザメは非常に大人しい性格、なおかつ昼間はあまり活発ではないため、いきなり襲ってくることはありません。
ただし、触りに行ったり近付いたりすると警戒心を持ってしまい攻撃してくる可能性もあります。
これはオオテンジクザメだけでなくどの魚にも言えることです。
できるだけ遠くから観察する程度にしておきましょう。
今回はオオテンジクザメの特徴や生態についてご紹介してきました。
オオテンジクザメはサメの中でも非常に大人しく、なおかつ絶滅の危険が高いと言われている希少な種類です。
もしダイビング中に見かけたら運が良いと言えるでしょう。
しかし、いくら大人しくてもむやみに触ったり近付いたりすれば警戒心から攻撃されてしまう可能性もあります。
ダイビング中に遭遇してもできるだけ遠くから観察するように心掛けましょう。