ダイビングに必要なスキルとして、潜降・浮上があります。
潜降は重要なスキルのためマスターしている人が多く見られますが、安全に浮上できている人は少ないのではないでしょうか。
ダイビングの終わり際ということもあり、気を抜いて浮上してしまうと減圧症に罹るだけでなく、空気塞栓症に罹るリスクも伴います。
潜降と同様に大切なスキルと言える浮上ですが、中には難しく捉えてしまい苦手意識が芽生える人も少なくありません。
より安全に水面に浮上するコツをご紹介していきましょう。
■浮力を調整する装置を上手に活用しよう!
水中での無重力状態を保つために、ダイバーに必須なアイテムである浮力を調整するジャケット(BCジャケット)があります。
この装置に空気が入ったまま水面に上がろうとすると、水深が浅くなるにつれて装置内で膨らみ速度の調節ができずに猛スピードで急浮上するケースがあります。
これを予防するために、今の水深・浮力の状態などをダイブコンピューターで確認することが大切です。
また、急に水面に上がらないためにも、空気が抜け切れているか確認することも大切です。
抜くだけでなく、あらゆる排気口から空気が溜まっていないか確認を行いましょう。
しかし、空気を抜いた時に水面に上がる速度があまりにも遅く、沈んでしまう場合もあります。
その時はいったん抜く行為を止め安全停止を行った後、再び水面に浮上する際に空気を抜いていきましょう。
または、浅くなるにつれて微調節しながら抜いていくと、急浮上しなくて済みます。
■息を吐きながら慌てずに水面に上がろう
浮力調整装置の空気を抜ききったら、慌てず水面に上がりましょう。
水面に上がる時に急いでしまうと、減圧症に罹るリスクがあるだけでなく肺が破裂する危険性も高まります。
水面に上がる時にどうしても早くなってしまうのであれば、呼吸の時に出た気泡の中で一番小さい物を追い越さないことを重要視して浮上してみてください。
水面に上がるスピードで最も安全だと言われているのが、1分間に18mと言われています。
ツアーのガイドやインストラクターによっては9m~18mと差がありますが、ダイビング中にその速度を知ることはできません。
その速度の目安として表されるのが、呼吸の時に出た泡です。
この小さな気泡と同じくらいのスピードで水面まで上がっていくと、減圧症や肺の破裂の心配がないと言われています。
ゆっくり水面に向かうことが苦手な方は、小さい気泡と一緒に水面に上がるよう意識してみるといいでしょう。
■浮上のスピードは遅いほど良いわけではない
「水面に上がる時はゆっくりと」とご紹介しましたが、遅いほど良いわけではありません。
減圧症は体の中に窒素が溜まることで、組織を圧迫し体の不具合を起こします。
しかし、窒素は体の中に溜まるだけでなく、体の外にも出しています。
出すスピードと溜まるスピードのバランスが崩れ、どちらかが勝ってしまうと排出されなくなり、体の中に溜め込まれて減圧症を発症してしまうのです。
窒素の量は1分間に9mのスピードで体内から減っていきますが、3mになると増えていくという研究結果が出ています。
水面に上がる速度は極力ゆっくりと行うことが重要ですが、遅すぎても問題となるのです。
速度がわからなくなったら、呼吸した時の気泡を意識してみましょう。
また一緒にダイビングをしている仲間たちと、できるだけ離れないよう水面に向かうことも大切です。
リスクを避けるための安全に浮上するためのコツをご紹介してきました。
水面に上がるスピードは、1分間に18mという決まりをきちんと覚えておきましょう。
また、浮上のスピードは様々な場面で気にする必要があるため、常に気を許さないようにすることも大切です。
スピードが上がってしまう人は、自分やバディから出た小さな気泡を意識しながら上がるようにすると、落ち着いて上がれます。
今回ご紹介したコツを生かし、より安全に楽しくダイビングしていきましょう。