体験ダイビングを経験したひとの中には「耳抜きが上手くできなかった」という声をよく聞きます。このホームページの別記事で「初めての体験ダイビングに向けて準備&予習しておきたい5つのこと」の中でも耳抜きについて説明していますが、ここでは耳抜きにフォーカスしてより詳しい内容をお届けします。なぜなら楽しいダイビングには必要不可欠なことだからです。ダイビング当日にもやり方の説明しますが、事前に覚えておくとより効果的です。決して難しいスキルではないのでマスターすればお子様でも簡単にできるようになります。
耳の構造と耳抜きの必要性
飛行機に乗っていると上昇・下降したときに気圧の変化で耳の聴こえが悪くなる事がありますよね。そんな時、皆さんはどうやって解消していますか?あくびをしたり、唾を飲み込んだり、顎を動かしたりしていませんか?その後に「ぷつっ」や「ぽこっ」となって違和感がなくなります。その「ぷつっ」と「ぽこっ」が耳抜きです。
そもそも、耳はどんな構造をしているのでしょうか。耳は鼓膜を境にして、外側を外耳、内側を中耳と言います。外耳は常に外界に触れていますが、中耳は体内にあります。中耳は耳管を通してのどの奥のほうとつながっています。この耳管は普段、閉じていて、中耳の空気はあまり入れ替わりません。一方、耳管は潜る前からずっと閉じているため、中耳の空気は地上の圧力のままです。ダイビングをすると、もともとの大気圧に加えて水圧が大きくなるので、鼓膜の外側と内側で圧力に差が生まれ、鼓膜が外から押し込まれることで違和感を覚えます。
耳抜きをして空気を耳に送り込むと、鼓膜は外から押し込まれ状態から元に戻って違和感が無くなります。違和感がある状態のまま潜り続けてしまうと、周囲の圧力はどんどん大きくなって耳の違和感は痛みに変わり、中耳炎などの原因になってしまうので耳抜きが必要なんです。
耳抜きの方法
①鼻をつまんで口を閉じる。耳に空気を送り込む(鼻をかむ感じ)
ダイビングではこの方法が一番抜けやすいので一般的です。コツは口と鼻をしっかり閉じることです。口と鼻から空気が漏れてしまうと耳抜きが難しくなります。マスクの上から鼻をつまむので少々つまみにくいかもしれませんが、空気がもれないようしっかりつまみましょう。
②唾を飲み込む
水中でも唾を飲むだけで耳抜きが出来る方もいます。とても簡単な方法なので一度試してみて下さい。これで耳抜きができたらラッキーです。
③顎を左右に動かす
こちらもとっても簡単。んーっと顎を左右に動かすだけです。ダイビング前に飴をなめると顎が動くので耳抜きし易くなりますよ。
④片方だけ抜けないとき
①~③の方法を一通り試して下さい。それでも抜けない時は、抜けない方の耳を水面に向けて①の方法:鼻をつまむ をやってみると上手くできます。
タイミングが大切
少しでも耳に違和感を感じたら
耳抜きは一度してしまえば終わりではなく、違和感を感じる度に行います。そしてなるべく早めにこまめに行いましょう。個人差はありますが、最初は水面付近で1回。次に1m。その次に2mと大体1m深くなるごとにやるイメージです。
耳抜きをするのは、潜るときだけ
水深が浅くなる時(海から上がる前)耳が押される感覚がありますが、何もしなくても溜まった空気が自然と抜けます。
耳抜きができないときは、まず止まる
耳抜きが上手くできないときは ”慌てず止まりましょう” そしてその場でもう一度試してください。
それでも上手くできず耳が痛くなった場合は、水中で耳を指差すジェスチャーをしてインストラクターに耳が痛いことを伝えて下さい。その場合は、それ以上深いところへは行かず少しだけ浅い方へ移動します。浅いほうへ移動して耳を慣らしてからもう一度やってみましょう。それから再びゆっくり深い方へ移動しますので、少しでも違和感を感じたら早めにこまめに耳抜きをしてみましょう。
こんなときは耳抜きしにくい
- 風邪をひいた状態でダイビングをしない。鼻づまりや薬を飲んでいたりすると耳抜きがしにくい。
- 寝不足 十分な睡眠をとりましょう。
- 二日酔い 前日の飲酒は程々に。
海に慣れている私たちでも、寝不足の日は抜けにくいことがあります。体調万全でお越し下さいね!
陸上での練習方法
鼻をつまんで鼻をかむ方法で練習
陸上での練習では1回1回の間隔を置いてゆっくり優しくやってみましょう。くれぐれも力をかけすぎて耳を傷めないように気を付けて下さいね。コツさえ掴めば少しの力がかかるだけでも成功します。
耳に空気が通った「ぷつっ」「ぽこっ」の感じとか、鼓膜が外側に押される感覚があれば、耳抜きは成功! 陸上でできた人は、水中でもほぼ成功しますよ。どうです?「ぷつっ」出来ましたか?
オトヴェントによる練習
どうしても耳抜きが苦手。。。という方には、オトヴェントという耳抜き練習器あります。
もともとは、子供の滲出性中耳炎の治療のために用いられる自己耳管通気器具なのですが、オトベントによる耳管通気の基本原理が、ダイビングの耳抜きと同じであることにより、耳抜きが苦手なダイバーの耳抜きトレーニング器具として広く用いられるようになったのです。日本では名優という会社が輸入・販売していますので、興味のある方は公式サイトをご覧の上かかりつけの医師に相談してみて下さい。
http://www.meilleur.co.jp/otovent/
特設ページには以下の説明があります。
オトヴェントは、鼻でバルーンを膨らませることで耳管(耳とのどをつなぐ管)を開き、中耳内圧と外気圧とを等しくする自己耳管通気器具です。
主に滲出性中耳炎の治療に用いられますが、最近では、ダイビングの耳抜き不良の予防のための練習用、飛行機搭乗中の耳痛(航空性中耳炎)の予防、高気圧酸素療法中の耳痛の予防などにも用いられ、小さいお子様から大人まで幅広い年代の方が使用しているユニークな製品です。
まとめ
普段の生活では馴染みのない耳抜き。 抜けやすい、抜けにくい、は個人差があるので、自分がどちらのタイプなのか事前に確認しておくと安心です。出来てるかどうか分からない場合でも、当日のダイビング前にインストラクターが一緒に確認しますのでご安心下さいね。
お気軽にどうぞ ♪