この記事のまとめ

宮古島でマンタに会えるシーズンは12月〜3月の約4ヶ月間。ベストは1月〜2月で、この時期は安定的にマンタが訪れます。ポイントは池間島方面・水深25mのクリーニングステーション「マンタホスピタル」。2025年11月に正式解禁された宮古島初のマンタクリーニングステーションで、石垣島や久米島と同じ「マンタを待つ」スタイルのダイビングが宮古島でもできるようになりました。北風に弱いポイントのため、複数日の滞在がおすすめ。シーズン中のご予約であれば、海況が許す日にマンタホスピタルへご案内します。

最終更新: 2026-05-12

宮古島初のマンタクリーニングステーション「マンタホスピタル」が解禁

みなさん、こんにちは。トッティです。

2025年3月上旬、私たちBIGHOLIDAYは宮古島で初めてマンタのクリーニングステーションを発見しました。池間島方面の水深25m付近。僕が休日にスタッフとスノーケリングに行っていたエリアで、「ここの下にクリーニングステーションがあるんじゃないか」とずっと気になっていた場所でした。半年以上かけてポイント調査を重ね、関係各所との調整やルール制定を経て、2025年11月11日に正式解禁。ポイント名は「マンタホスピタル」です。

これまで宮古島のマンタダイビングは「捕食中のマンタに偶然出会う」スタイルが主流でした。でもマンタホスピタルの発見で、水深25mのクリーニングステーションでマンタを待つという、石垣島や久米島と同じスタイルのダイビングが宮古島でもできるようになりました。宮古島のダイビングに新しい選択肢が増えた。これは僕にとっても本当にワクワクする出来事です。

「マンタホスピタル」という名前の由来

この名前には理由があります。沖縄科学技術大学院大学(OIST)のマンタプロジェクトチームの尾崎里佳子さんからいただいたメールに、こんな一節がありました。

クリーニングステーションはマンタにとって特別な場所です。エステやスパのように体を綺麗にしてもらう場所であり、交流の場でもあります。しかし最も重要なのは、病院のような役割を果たしているという点です。怪我をしたり体調の悪いマンタたちがそこを訪れ、クリーナーフィッシュによって古い皮膚や寄生虫、壊死した組織などを取り除いてもらうことで、傷を清潔に保ち回復を早めることができます。

「病院」というキーワードが出てきた時、なるほどなと。マンタにとってクリーニングステーションはただの立ち寄り場所じゃなくて、体を治しに来る大切な場所なんだと。20年この海に潜ってきて、マンタの傷が治っていく様子は何度も見てきましたが、その背景にこういう仕組みがあったとは。

この話を宮古島のダイビング連絡協議会の海域調整委員会に持ちかけて「マンタホスピタル」を提案したところ、賛同を得ることができ正式に決定しました。私たちダイバーはマンタの病院にお邪魔する立場。マンタが嫌がることはせず、少し離れたところから優しく見守る。そんな気持ちでこのポイントを運用していきたいと思っています。

マンタホスピタルのシーズンはいつ?

半年以上の調査で分かったことをまとめます。

マンタがクリーニングステーションに来るのは12月〜3月の約4ヶ月間です。4月〜11月の期間は、このポイントにマンタが来る可能性が極めて低いことが調査で判明しています。夏季の調査では、実際にマンタに遭遇したことは一度もありませんでした。11月もほぼゼロです。

12月に入るとマンタが集まり始め、確率がグッと上がります。1月〜2月が最も安定して見られる時期。3月に入るとマンタが徐々に減っていきます。始まりと終わりは年によって前後するため、確実に狙うなら12月〜2月がおすすめです。

シーズン区分 時期 マンタ遭遇の期待度
オフシーズン 4月〜11月 ほぼゼロ(調査中の遭遇実績なし)
シーズン序盤 12月 マンタが集まり始める。確率が上がってくる
ベストシーズン 1月〜2月 安定的に会える確率が高い
シーズン終盤 3月 徐々に減少。年によりばらつきあり

なぜ冬だけ?マンタの行動パターン

理由はマンタの食事にあります。

池間島方面のこの海域は、12月頃からプランクトンが水面に溜まり始める好餌場です。以前からスノーケリングで水面のマンタを楽しめるエリアとして知られていました。BIGHOLIDAYのスタッフも休日にスノーケリングでマンタと遊びに行っていたほどです。実は僕自身、このエリアに何度も通ううちに「水面にこれだけマンタが来るなら、下にクリーニングステーションがあるはずだ」と確信を持つようになったんです。それがマンタホスピタル発見のきっかけでした。

調査で分かったのは、マンタは水面でプランクトンを食べた後、やや深場のクリーニングステーション(水深25m)に降りてクリーナーフィッシュに体を綺麗にしてもらう、という行動パターンです。実際に調査中、4枚のマンタがクリーニングステーションから一斉に水面へ上がっていき、プランクトンを食べ始める瞬間を目撃しました。あの光景は今でも鮮明に覚えています。

マンタの行動で最も優先順位が高いのは「食事」。OISTの尾崎里佳子さんもそう述べています。つまりプランクトンが集まる冬にマンタがこの海域に来て、食事の合間にクリーニングを受ける。春以降はプランクトンが溜まらなくなるため、マンタ自体がこの海域に来なくなる。これがシーズンの仕組みです。

マンタホスピタルの場所と海況条件

マンタホスピタルは池間島方面にあります。

ここで1つ知っておいていただきたいのが、北風に弱いポイントだということ。マンタシーズンの12月〜3月は北風が多い冬季にあたるため、毎日行けるポイントではありません。東風が緩い日、北うねりが少ない日、南風にフラッと変わった日など、海況のタイミングが合った時に訪れることができます。

全く行けないわけではないんですが、ベストシーズン中でも「行ける日に行く」というスタンスになります。BIGHOLIDAYでは行ける時は必ず行くと決めています。毎朝の海況チェックで「今日は池間いける」と判断したら、迷わずマンタホスピタルに向かいます。来られる方はぜひリクエストしてください。

マンタホスピタル以外のマンタ遭遇チャンス

マンタホスピタルが解禁されたからといって、宮古島のマンタ体験がそこだけに限定されるわけではありません。

伊良部島・下地島方面でも、マンタホスピタルと同じ12月〜3月の時期にダイビング中に通りがかりのマンタに遭遇することが稀にあります。宮古島本島の南岸・東岸、八重干瀬(やびじ)、来間島周辺でもマンタの目撃実績があります。ただし、こちらは移動中のマンタとの偶然の遭遇で、通年で会えるわけではありません。

マンタホスピタルでは水深25mのクリーニングステーションでマンタを待つスタイル。それ以外のエリアでは従来通りの偶然の遭遇。この2つのスタイルが宮古島のマンタダイビングの選択肢です。

世界的マンタ権威との連携とGPSタグ調査プロジェクト

マンタホスピタルの発見をきっかけに、沖縄科学技術大学院大学(OIST)のマンタプロジェクトチームとの連携が始まりました。マンタホスピタルの鑑賞ルールや運営方針は、このチームの科学的知見に基づいて策定されています。

チームを率いるのはマーク・アードマン博士(Dr. Mark Erdmann)。カリフォルニア大学バークレー校で博士号(サンゴ礁生態学)を取得し、Conservation International(CI)でアジア太平洋海洋プログラム副社長を20年間務めました。2025年7月からはRe:wildに移籍し、ReShark事務局長兼サメ保全ディレクターとして活動しています。魚類分類学で217種の新種を記載、272本の科学論文と6冊の著書を持つ世界的な海洋生物学者です。インドネシア、パプアニューギニア、ニューカレドニア、フィジー、オーストラリア、ニュージーランド、沖縄など各国でマンタのGPSタグ設置調査を実施してきました。ラジャアンパット(インドネシア)では、ダイバーが集結しすぎてマンタが来なくなったポイントで博士がGPSタグ調査を行い、その結果を元に鑑賞ルールを策定。現在は安定的にマンタを観察できるようになったという実績があります。

プロジェクトリーダーの尾崎里佳子さんは、OIST博士課程に在籍し、世界的なマンタ研究コミュニティ「Manta Trust(マンタトラスト)」にも所属。世界No.1のダイビング指導団体PADIのアンバサダイバーも務めています。日本におけるマンタ研究の拠点として「ジャパンマンタプロジェクト」を立ち上げ、学会での研究発表も行っています。マンタホスピタルの名前の由来となった「クリーニングステーションはマンタにとって病院のような存在」という知見も、尾崎さんから直接いただいたものです。

宮古島でもこの冬からナンヨウマンタにGPSタグを設置し、普段どういう行動を取っているのかを調査するプロジェクトが始動しています。僕自身もプロジェクトに参加させてもらっていて、実際にタグ設置の現場にも立ち会いました。YouTubeでその進捗を配信していく予定です。

第2・第3のクリーニングステーション発見への期待

僕がこのGPSタグプロジェクトに最も期待していること。それは第2・第3のマンタのクリーニングステーションが見つかる可能性です。

宮古島はかなり広い海域です。北側には「日本のグレートバリアリーフ」と呼ばれる八重干瀬(やびじ)が広がり、来間島、伊良部島、下地島と、マンタが出没するエリアは点在しています。これだけの海域にクリーニングステーションが1ヶ所だけということはありえないと思うんですよ。

GPSタグ調査がうまくいけば、一気に5個、10個と新しいクリーニングポイントが見つかることだって全然おかしくない。見つからない可能性もありますが、継続的に長い年月かけて調査していければ、その可能性をとても多く秘めたプロジェクトだと感じています。

宮古島のマンタダイビングは、まだ始まったばかりです。

マンタ鑑賞ルール|マーク・アードマン博士監修

マンタホスピタルの鑑賞ルールは、世界的マンタ権威であるマーク・アードマン博士の監修のもと、OISTの科学的エビデンスに基づいて策定されています。マンタにとってクリーニングステーションは安心して体を治しに来る大切な場所。ダイバーがマンタを脅かさないよう、適切なルールの下で運営されています。

具体的なルールは、宮古島で潜る際に担当ショップ・ガイドから説明を受けてください。これまで日本のマンタポイントではエビデンスが不十分な中でルールを決めざるを得ませんでしたが、今回は博士と尾崎里佳子さんの科学的知見を裏付けに制定されたルールです。自信を持って皆さんにご案内できます。

よくある質問(FAQ)

Q. 宮古島でマンタに会える時期はいつですか?

マンタのクリーニングステーション「マンタホスピタル」でマンタに会えるシーズンは12月〜3月の約4ヶ月間です。ベストシーズンは1月〜2月で、この期間は安定的にマンタが訪れます。12月はマンタが集まり始める時期、3月は徐々に減少します。なお、伊良部島・下地島方面など他エリアでの通りがかりのマンタとの遭遇も、時期はマンタホスピタルと同じ12月〜3月です。通年で会えるわけではありません。

Q. マンタホスピタルとは何ですか?

2025年3月にBIGHOLIDAYが宮古島で初めて発見したマンタのクリーニングステーションです。池間島方面の水深25m付近にあり、マンタがクリーナーフィッシュに体を掃除してもらいに訪れる場所です。名前の由来はOIST(沖縄科学技術大学院大学)の研究者が述べた「クリーニングステーションはマンタにとって病院のような存在」という言葉から。Tottyが協議会に提案し正式決定しました。2025年11月11日に正式解禁。

Q. 宮古島のマンタは石垣島とどう違いますか?

石垣島にはクリーニングステーションが複数あり、通年でマンタを高確率で観察できます。宮古島のマンタホスピタルはシーズンが12月〜3月に限られ、北風に弱いポイントのため毎日行けるわけではありません。ただし世界的なマンタ研究者マーク・アードマン博士と連携したGPSタグ調査が進行中で、第2・第3のクリーニングステーション発見の可能性を秘めています。宮古島のマンタダイビングはこれからさらに発展していきます。

Q. マンタに会える確率はどのくらいですか?

ベストシーズン(1月〜2月)でマンタホスピタルに行ける海況であれば、かなり高い確率でマンタに出会えます。ただしポイントが北風に弱いため、冬季は行けない日も少なくありません。滞在日数2〜3日以上を確保していただくと、海況が合う日に当たる可能性が高まります。BIGHOLIDAYでは行ける日は必ずマンタホスピタルに行く方針で運営しています。

Q. マンタを見たい場合、予約時に何を伝えればいいですか?

予約時に「マンタホスピタルに行きたい」とリクエストしてください。シーズン(12月〜3月)内のご予約であれば、海況が許す日にマンタホスピタルへご案内します。ベストシーズンの1月〜2月がおすすめです。ただし北風が強い日は行けないため、複数日の滞在をおすすめします。

Totty - BIGHOLIDAYオーナーガイド

Totty — BIGHOLIDAYオーナーガイド

宮古島在住21年(2005年〜)。ファンダイビング専門。宮古島3大ポイント年間150回以上セレクト、宮古島での潜水回数は約2万本。YouTube「Totty / scuba diving」(登録者1.2万人)で宮古島のダイビング情報を発信中。

2023年〜 マリンダイビング大賞 3年連続入賞中。
2023年 海上保安庁長官賞 受賞(海難救助の功績)
2025年 宮古島初のマンタステーション発見者