ダイバーなら減圧症に注意が必要です。
減圧症とは、水中から出る際に圧力が下がって起きる疾患です。
圧力が下がってしまうと、体内の窒素をすぐに吐き出すことができなくなり、血液や組織の中に気泡が生じてしまいます。
気泡が膨張すると組織を傷付け、様々な症状を引き起こしてしまうのです。
では、減圧症になるとどのような症状が現れるのか、減圧症を予防するためにはどうすべきなのかご紹介しましょう。
■減圧症になるとどのような症状が現れるのか?
減圧症はⅠ型減圧症とⅡ型減圧症の2つに分類され、症状はⅠ型とⅡ型で異なります。
まずはそれぞれの具体的な症状からご紹介しましょう。
・Ⅰ型減圧症の症状
Ⅰ型減圧症は、比較的に軽症です。
腕や足の関節、背中、均域に痛みが生じますが、痛みの場所を正確に特定できない場合もあります。
症状の出初めは軽い痛みが断続的に続きますが、徐々に激しくなっていき、「まるで骨に穴をあけられているようだ」と表現されることもあるほどです。
その他にも、皮膚のかゆみや斑点、リンパ節の腫れ、強い疲労感、発疹がまれにみられます。
基本的にこれらの症状が出たからと言って命が危険にさらされるわけではありませんが、重篤な障害の先駆症状である可能性は否定できません。
・Ⅱ型減圧症の症状
Ⅱ型減圧症は、Ⅰ型と比べると重症です。
軽いしびれで済むケースもありますが、まひの後遺症が残ってしまったり、死亡してしまったりする可能性があります。
Ⅱ型減圧症の場合は、脊髄が侵されるケースが多いです。
脊髄が侵されてしまうと、手足のしびれやチクチクと刺すような痛み、筋力の低下などの症状が現れます。
最初のうちは軽い痛みや筋力の低下であっても、時間が立つと深刻なまひに進行してしまう可能性も高いです。
また、尿や便がコントロールできなくなり、腹痛や背部痛を伴う場合もあります。
脊髄だけではなく、脳や内耳が侵されてしまう場合もあるので注意しなければいけません。
脳が侵されると、頭痛や複視などの症状が現れますが、意識を失うことはほとんどありません。
内耳が侵されると、回転性のめまいや難聴、耳鳴りといった症状が現れます。
肺に気泡が達してしまうと、咳や胸の痛み、呼吸困難などの症状が現れ、最悪の場合死に至る危険性もあります。
■減圧症を予防するには
楽しいダイビングを楽しく終わらせるためには、減圧症の予防方法を知っておく必要があります。
減圧症の予防方法というと難しい印象があるかもしれませんが、至って単純です。
その予防方法とは、血液や組織に窒素の気泡ができないように無低圧潜水を心掛ければいいだけです。
潜っていく深さと潜水時間で体の中に入ってくる窒素の量は変わります。
気泡ができないようにするためには、ゆっくりと浮上することと長時間の潜水を避ければ低圧症は予防可能です。
無低圧潜水が重要とはいえ、安全なダイビングを行うにはどうすれば良いのでしょうか?
ダイビングを行う際のチャートでは、基本的に減圧症にならないような浮上スケジュールが組まれています。
ダイバーが携帯するダイブコンピューターを装着し、深さや潜水時間をしっかりと計測していればリスクを回避できます。
ダイブコンピューターが示す減圧停止などの指示にきちんと従えば、減圧症のリスクは大幅に下げられるでしょう。
それ以外に、深度4.5mで数分間安全停止することも減圧症の予防で重要なポイントになるので覚えておいてください。
減圧症が軽度の症状もあれば、最悪死に至るケースもあるのでダイバーはしっかり身につけておきたい知識です。
発症を防ぐためにも、ダイブコンピューターを活用して安全な潜水スケジュールを組んでダイビングを楽しむようにしましょう。