ダイバーが気を付けたい疾患に潜水病というものがあります。
これは誰にでも起きるリスクがあり、命に危険が及ぶ可能性があるので、その危険性を理解しておくことは大事です。
ただ、もしなったとしてもしっかり治療を受ければ完治します。
そこで今回は、ダイビングでなりやすい潜水病の原因やなった時の治療法についてご紹介しましょう。
■潜水病になってしまう原因
潜水病は体に溜まった一定量の窒素が、血液や組織内部で気泡化することで、体に様々な影響を与える疾患です。
正式には、減圧症と言います。
ダイビングの際に使用されるスキューバタンク内の空気は、79%が窒素、21%が酸素という構成になっています。
およそ8割が窒素なので、ダイビング中の体内には窒素がどんどん溜まってしまうのです。
蓄積された窒素は、陸に上がった時に気泡化し、潜水病を起こします。
イメージとしては、炭酸飲料のフタを開けた時に圧力が解放されて、飲み物が泡立つ現象とよく似ています。
血液中や組織の内部に気泡ができてしまうと、血流を悪くしてしまったり、組織を圧迫したりします。
その結果、手足のまひや脱力感、めまい、呼吸困難などの症状が現れるのです。
そして重症になってしまうと、死に至る可能性もある危険な病気です。
発症の主な原因は、潜水する深さと時間です。
深い場所を長時間潜ると潜水病の発症リスクが高まるので注意してください。
他にも、疲労や寒さ、怪我、飲酒、肥満、年齢なども関係するため、気を付けていても様々な要因から発症するリスクがあります。
もしもダイビング後にしびれや呼吸困難などが起きたら潜水病が疑われるので、すぐに医療機関を受診してください。
症状が軽いからといって放置してしまうと、重篤な症状に進行してしまう可能性もあります。
緊急用酸素キットを持っている場合は、応急手当てを行いましょう。
■潜水病になった時の治療法は?
潜水病になってしまったら、医療機関にある再圧チャンパーに入る必要があります。
かつては潜水病に最適な治療法がなく、危険な疾患と考えられていました。
しかし今では、再圧チャンパーの中で海中と同じ環境を作ることで、体の中にたまっている窒素を体外に排出できるようになりました。
再圧チャンパーは、総合病院に置かれていますが、沖縄の場合は本島にある沖縄セントラル病院と琉球大学付属病院の2ヶ所しかありません。
ダイビングが盛んに行われている国や地域の中には、再圧チャンパーがない場所も少なくありません。
また、再圧質を操作するためには専門的な知識や技術も必要になるため、再圧チャンパーによる治療を受けられる可能性は低いと思っておくべきです。
再圧チャンパーが近くにないと、ドクターヘリで運ばれるケースもあります。
再圧チャンパーを利用しない治療には、カテーテルを使って気泡を除去するという方法もあります。
期待は上に向かう性質があるため、脳や心臓に気泡がいかないように、左側を下にした左側臥位で寝かせます。
頭部はできるだけ下げるようにしましょう。
肺が破裂してしまった場合は、酸素吸入をする必要があります。
潜水病の症状は全身に症状が現れるため、全身管理ができる医療機関でなければいけません。
骨が壊死していると切断手術を行わなければいけないケースもあるため、できるだけ潜水病にならないように気を付けたダイビングを心掛けるようにしてください。
潜水病は、初心者だけではなくベテランもなってしまう可能性は十分にあります。
しかし、それを恐れていればダイビングはできません。
万が一のことを考え、安全にダイビングをする知識や潜水病の対策、治療できる医療機関を確認して備えておきましょう。