お客さまに『最近ブログ更新のペースがいいね〜』とお褒めに預かりました。
こんにちは。ブログを週に一回書けば褒められるレベルの店主トッティです。初めて当ブログを読んでくださっている方にもボクのレベルが高くないことは察していただけるだろう。週に一回で褒められるって素直に喜ぶべきだろうか。いいの??喜びますよ!?
最近は海が良いので、ネタも比例して多い。秋は宮古島のベストシーズンですからね。
さあ、今日はどんな海だったのでしょうか。BIGHOLIDAY劇場のはじまりはじまり〜
悪魔の館|下地島ダイビングポイント
- 超ウルトラ高難易度
- 深い暗い長い
- まるでパンドラの箱
- リクエスト不可
【悪魔の館】年に数回しか潜れない宮古島”幻”のダイビングポイント
悪魔の館には虜にさせられる魔力がある
どれくらい難しいポイントで、どれくらいレアなポイントかは上記のリンク記事を参考にしてください。
悪魔の館には不思議な魔力がある。年に1〜2回くらいしか案内できるチャンスはないが、少ないながらも潜り終えたお客さまのリアクションには共通点があることに気が付いた。『圧倒的高揚感』と『圧倒的余韻』だ。
もちろん高揚感と余韻は別にレアなポイントや特別なシチュエーション出なくても、そのダイビングが楽しかったなら感じることは出来る。ダイバーなら誰しも感じたことがあるだろう。だから海は楽しい。
しかしそれとは別次元の高揚感と余韻。
それを魔力と言い換えて、今日はその謎に迫って行きたいと思う。今日は上級者編だが、初心者の方も楽しんでいただけると思う。
魔力の秘密その1:現実離れした異空間
宮古島の地形ポイントは伊良部島下地島エリアで約40あって、どの地形ポイントも自慢の好ポイントだ。しかしそのポイント群とは一線を画する形状。世界観とでもいうべきだろうか。ここだけは宮古島じゃないみたいだ。
洞窟はひとつだがいくつかのエリアに別れているので、ボクが勝手に呼んでいる名前を交えて紹介させてもらう。
【魔神の大口】と呼んでいる。水深は-35m。進撃の巨人クラスの悪魔が大口を開けているような不気味な大穴から潜入する。振り返ればしばらく入り口の光”の青”がボヤッと見えるが、進めば進むほどだんだんと”青”が小さくなってきて、やがて漆黒となる。
悪魔の口は閉ざされた。もう後戻りはできない。
【月面空間】
入り口の”青”が見えなくなったら完全に漆黒の闇。未到の月面エリアで冒険の始まりだ。BC操作と呼吸コントロールで上手く重力(浮力)を調整しながら各々が水中ライトをランタン代わりに足元を照らしながら進む。
未知の生物との遭遇はここのエリアが一番多い。普段はあまり見れない漆黒の闇を好む生物だ。まるで宇宙人に突然遭遇するイメージだ。
月面空間の途中で入り口から続いている50mメジャーがここで途絶える。
そこからさらに奥へ奥へと進んでいくと進行方向が今までの直進から斜め上方向に切り替わる。やがて垂直に浮上する縦穴となる。
【小宇宙】エリアに到着。
ここまで来ると完全に雰囲気が一変して透明度透視度がグンと高くなる。水中にいることを忘れるくらい透き通っている。生物の気配がまったく無くなるのもここからだ。
ところにより視界がメラメラモヤモヤしだす。大量の湧き水だ。
ここまで来たらあとはクライマックスへ。さらに浮上すると岩壁が黒く焦げたような地質が出てくる。ゴールはもうすぐそこ。そして辿り着いた先が、
最後の秘境【ラストオアシス】だ。
海抜0m地点。ここがどれだけの特異なダイビングポイントなのかお分りいただけただろうか。
大量の湧き水が悪魔の館を造った要因なのだが、実は面白いストーリーが隠れている。それはこの記事のラストで紹介させてもらうとする。
魔力の秘密その2:圧倒的難易度
メジャーが途切れた場所(50m)からさらに30mくらい進む。さらにボートから洞窟入り口までの距離も入れるとざっと片道100mは超える。往復で200m超だ。
泳ぐ距離だけでもかなりある。
体力もそうだがエア持ちも重要だ。今日のボクのエアプロフィールはスタート200、ラストオアシスで140、ボートにエキジットして70。
70もあると思うだろうがガイドが残70というのはかなり少ない。通常潜っている難易度高めのポイントでも100は残して帰って来ている。ガイドは通常それくらいの余裕を持つ。
30の違いはあまりにも大きく、ワントラブルがまでは対応できるかもしれないがリスクを考えればワントラブルで引き返すことになる。
泳ぐ距離とエアに関してだけでも難易度の高さ物語っている。まだまだあるがこれ以上書くとただのネガティブ記事になってしまうのでこのくらいにしておこう。
魔力の秘密その3:積み重ねし者にのみ与えられる挑戦権
積み重ねし者とはどういう意味か。それは経験本数だけの話ではない。
例えばどんな器材が泳ぎやすいか使いやすいか、例えば上手になるためには誰を見たらいいか何を見たらいいか、例えばいろんな場所に潜りに行ってたくさんのポイントで潜ったりいろいろな人と潜ったりしてたくさんの経験を積む。
ダイビングは訓練が目的ではない。楽しむことが目的なはずだ。
でもね、圧倒的な楽しさや感動を得るには、簡単なポイントでは叶わない。積み重ねて来た経験とスキルをフルに使っていろいろな障害を乗り越え、辿り着く場所にこそ心震わす景色が広がっている。
でも焦る必要はない。楽しみながら少しずつ上手になり、ダイビングを続けていればいつかこういうダイビングポイントに巡り合うはずだ。
悪魔の館|裏ストーリー
なかなか行くことはできないが、確率が2/365以下なだけで決して行くことを諦めているわけではない。
“あなた”にもいつかチャンスが訪れるかもしれない。その時は己の持てる全てのスキルを駆使して、かつて体験したことがないインパクトの感動を一緒に掴みに行きましょう。
それでは最後にボクの仮説を紹介させてもらう。
悪魔の館は有名ポイント『通り池』のすぐとなりに位置する。本当に真隣だ。だから水脈が通り池のものと繋がっているのではないかという仮説。
これだけ悪魔の館にこれだけ大量の湧き水が出ていれば、長い年月をかければ通り池クラスの大規模な穴が形成されるのもすんなり納得できる。水脈の本流は通り池へ。支流は悪魔の館へ。
そう考えると『通り池』と『悪魔の館』は兄弟ポイントと言っていいだろう。光と影、この世の全てはふたつでひとつ、必ず対をなしている。太陽からもダイバーからも日の当たるポイントが通り池。そのどちらからも日の目を見ないポイントが悪魔の館。
忘れ去られた深海の迷宮、ここにあり。
ではまた明日。