耳抜きが上手くできないと耳が痛くなってしまいます。

ダイビングをしていて耳が痛いと感じるのは、耳抜き不良が起こっているからです。

耳抜き不良になってしまうと、鼓膜の内側にある中耳腔の圧力が低くなり、鼓膜がへこんでしまいます。

そのような状態が長く続き、血液が中耳腔に溜まることを中耳気圧外傷と呼びます。

今回はそんな中耳気圧外傷の症状や危険性についてご紹介しましょう。

 

 

■中耳気圧外傷とは?

中耳気圧外傷は、ダイビング中の気圧の変化によっておこる外傷です。

鼓膜内に出血が生じ、中耳腔に血液が溜まっている様子は鼓膜を透かして確認できます。

そのような状態を中耳気圧外傷と呼びます。

中耳気圧外傷には、症状ごとにランクがあり、以下の5段階に分けられます。

 

・症状はあるが鼓膜が正常なGrade0

・鼓膜が充血し始める「GradeⅠ

・鼓膜の充血と軽い出血が見られるGradeⅡ

・鼓膜内に出血が多く見られるGradeⅢ

・鼓室内にも出血が見られるGradeⅣ

・鼓膜にピンホール上の穴があいてしまうGradeⅤ

 

潜水医学に詳しくない耳鼻科医を受診すると急性中耳炎と誤診され、適切な治療ができない可能性があるため注意しなければいけません。

潜水性中耳炎とも呼ばれていますが、中耳気圧外傷は転んだ時にできるあざと同じようなものなので、外傷に分類されます。

そのため、潜水性中耳炎という呼び名は適切ではないと言われています。

 

 

■中耳気圧外傷の症状は?

 

中耳気圧外傷になってしまうと、鼓膜がない出血を起こしたり、中耳腔に血液が溜まったりするため、耳の中に水が入ったままの感覚が治りません。

水を出そうとして綿棒などを使っても、水が抜けないという感覚は改善されないでしょう。

耳に入った水が出てこないと感じた場合は耳鼻科を受信してください。

また、中耳気圧外傷は耳に水が入っているような違和感だけではなく、耳の痛みや耳鳴りも出現します。

アレルギー性鼻炎を患っている人の場合は、まるで針で刺されているような鋭痛みを感じることもあります。

症状が現れた後に適切な処置ができなければ、数時間から数日症状が継続してしまう可能性もあるため要注意です。

 

 

■中耳気圧外傷の危険なサインを見逃してはいけない!

耳抜き 中耳炎

ダイビングをしている時に、耳抜きができない人は痛いと感じたり、耳の中に水が入ったまま抜けないような感覚に陥ったりします。

そのような状態は数日から数週間ほど続きますが、自然と治ることが多いです。

しかし、自然と治るからといって放置してしまうとダイバー生命を脅かしかねないので注意しなければいけません。

耳抜き不良で違和感がある場合は、耳抜きの訓練や適切な治療を受けないと、大きな事故につながってしまう可能性があることを覚えておきましょう。

耳抜き不良が原因で中耳気圧外傷になってしまったら、外リンパ瘻を合併していないか検査します。

高い音だけが聞こえにくい場合、外リンパ瘻を合併している可能性が高いです。

外リンパ瘻はとても重症な疾患で、水中で回転性のめまいを起こしたり、嘔吐を引き起こしたりします。

水中でめまいが起こるとパニックになって溺れてしまいますし、吐瀉物がセカンドステージの排気弁に詰まると海水を吸引してしまい、溺れてしまいます。

このような事態になることは稀ですが、死亡事故につながる可能性も非常に高いので注意しなければいけません。

外リンパ瘻も中耳気圧外傷と同じように耳抜き不良が原因で起こるため、耳抜きをしっかりとできるようになれば予防できます。

 

 

ダイビングを長く楽しむためには、中耳気圧外傷にならないように耳抜きをしっかりとする必要があります。

耳抜きが上手くできずに痛いと感じたり、耳の中に水が溜まったまま抜けないと感じたりする場合は、できるだけ早く潜水医学に関する知識を持つ耳鼻科医を受診するようにしましょう。

早い段階で適切な治療ができれば、ダイビングを継続して楽しめます。