緊急スイミングアセントは、ダイビングをする上では知っておかないといけない知識です。
水中でエアがなくなった時やバディと離れてしまい予備の空気をもらえない時には、何とか自分で対処しなければなりません。
そこで今回は、緊急スイミングアセントについてご紹介します。
講習で一度は経験していると思いますが、不安のある方は自分でも練習してみるといいでしょう。
ダイビングを安全に楽しむためにも、リスク管理について再度おさらいしておきましょう。
■緊急スイミングアセントとは?
緊急スイミングアセントとは、水中でエア切れになってしまった時に使用する手法です。
アセントは「浮かぶ」という意味で、自ら浮上するスピードを制御しながら、空気がない状態でも安全に浮かんでいくようにします。
PADIダイバーのライセンス講習でも行われるので、経験したことがある方も多いでしょう。通常はバディが近くにいるので空気がなくなっても安心と言えますが、不測の事態などから水中でバディを見失うこともあります。
そんな時、9m以内の比較的浅い水深であれば緊急スイミングアセントを行うことで乗り切ることができるでしょう。
近くにバディがいたとしても、水面の方が近い場合には緊急スイミングアセントを選択するケースもあります。
■緊急スイミングアセントのやり方
最初にするのは、安全確認です。
右手を高く上に伸ばして、障害物がないかを調べます。
左手はインフレ―ターの排気ボタンに置き、浮かぶ速さをコントロールできる体制をとりましょう。
呼吸がしやすいように顔を上に向け、息継ぎせずに「アー」と声を出します。
足元はフィンキックをして、時間をかけて浮上するようにしましょう。
あまりにスピードが速いと、減圧症などの症状が発生する可能性があるため注意が必要です。
排出ボタンから出ている泡の速度よりも遅く進むのが目安です。
ゆっくりと落ち着くことを意識して、浮かんでいきましょう。
無事に水面に出た後はフィンキックのまま、息継ぎをしてください。
■練習時の注意点
水中でのエア切れが起こったり、バディがいなくなったりしたら「焦ってしまうかもしれない」と思う方もいるでしょう。
その場合には、事前に緊急スイミングアセントを少し練習しておくといいかもしれません。
練習する時には、近くに障害物がないかを十分に確認してください。
水中でウエイトは捨てる必要がなく、そのまま着用していて問題ありません。
「アー」「ウー」などと声を出して、息を吐きながら浮上しましょう。
水面に出た時は、インフレーターを左手に持ったままにしているかも確認してください。
■緊急浮力浮上とはリスクが全く違う
緊急スイミングアセントとよく比較に出される技術に、緊急浮力浮上があります。
緊急浮力浮上は、水深9mを超える場所で使う手法です。
両者の違いはウエイトを捨てるかどうかで、緊急浮力浮上ではウエイトを捨てます。
緊急浮力浮上も浮上速度を制御しながら上がっていく手法ですが、息が続かないことにはどうしようもないため、体力や状況によっては後遺症のリスクがあるとしても一気に浮上することがあります。
別名「最後の手段」と言われることもあり、緊急スイミングアセントよりもリスクが大きい方法と言えるでしょう。
減圧症などの危険もある手法は、生きて帰るための最終手段ですが生存率はあまり高くありません。
当然、講習でやることもなく、実際のダイビングでも、やらないまま終わることが理想です。
緊急スイミングアセントは、ダイビングでエア切れを起こした時に使う手法です。
バディがいれば空気を供給してもらえますが、困難な場合には自力で何とかしなくてはなりません。
初心者は特にエアがなくなると慌ててしまいがちなので、潜る前や行動中にも残量をしっかりと確認しておきましょう。
ダイビングでは安全に配慮し、エア管理を徹底しておくことが大切です。