ダイバーの必需品BCDとはBuoyancy Control Deviceの略称で「浮力調整装置」のことで、Buoyancy Compensator(BC)とも呼ばれます。
タンクなど器材をひとまとめにできるダイバーには欠かせないアイテムですが、BCDの役割はそれだけではありません。
今回は、BCDの機能や役割、扱ううえでの注意点などについてご紹介します。
BCDとは
今ではライフジャケット型が一般的ですが、初期のころはエプロンのような形状をしていたBCDは、タンクの固定や器材をまとめるだけのものではありません。
ダイビング中、タンクの空気を使うとタンクが軽くなり浮力が変化しますし、潜水して水深が下がったりするとウェットスーツ内の気泡が減るので浮力が下がってきます。
BCD内部には空気袋がついていて、そこにタンクから空気を入れることで、常に安定して潜水できるよう浮力を調整する役割があるのです。
BCDは、サイズの調整範囲が広く、ウェットスーツとドライスーツどちらでも対応可能なベルトアジャスタータイプが一般的ですが、ほかにも背中のみに空気袋があるプロ向けのバックフロートタイプ、全体に空気が入るため水面でも水中でも安定性が高いジャケットタイプなど様々な種類があり、空気袋があることから救命胴衣代わりにもなっています。
BCDの役割
・水面での浮力を確保する
水面を移動する時や休憩する時、レスキューの時に浮き輪の代わりに使います。
万が一に備え、初心者はビーチ・ボートのどちらの場合でも、エントリーの際にBCDに3/4程度空気を入れておくと安心です。
・水中での浮力を調整する
水中での浮き沈みを感じ取って給気・排気し、中性浮力をとります。
ダイバーがBCDの用途と聞いて思い浮かべるイメージはこれが多いのではないでしょうか?
一度に給気・排気しようとせずに、ゆっくり少しずつ行うのがポイントです。
・タンクを固定する
BCDの重要な役割のひとつにタンクの固定があります。
今では当たり前になっているBCDですが、普及し始めたのは1970年代後半頃からで、それまでは空気袋のないハーネスでタンクを固定していました。
BCDの扱い方で注意するポイント
BCDはメーカーやタイプによっても重さに幅があるので、選ぶ際は注意が必要です。
体重に対してタンクの重さの比率が高いと左右に振られやすく、水平姿勢になった時も下に引っ張る重さが足りずに浮きぎみになるので小柄な方はなるべく軽いものを選ぶことをおすすめします。
また、ダイビングではいつの間にか水深が浅くなっている、ということがよくありますが、そうすると水圧が弱くなりBCDの空気が膨張して浮きやすくなるので排気が必要になります。
この時、ダンプバルブを使ってしまうと排気しすぎてしまうので、インフレーターホースについている排気ボタンを使い、少しずつゆっくりと排気しましょう。
ダンプバルブはBCD内部の空気を一気に排気できるバルブで、肩や腰についたひもを引っ張ることで作動します。
排気スピードなどの調整はできないので、潜降時や浮上スピードが上がりすぎているなどの緊急排気したい時に利用しましょう。
排気と違い、給気には1つしかボタンがないので給気スピードは自分で調整しなければなりません。
しかも、給気の場合はBCDの空気袋に空気が行き渡るまでにタイムラグがあるので焦って押し続けてしまうと急浮上してしまいかねないので落ち着いて少しずつ給気する必要があります。
今回は、BCDの機能や役割、扱ううえでの注意点などについてご紹介しました。
BCDが常に浮力を調整してくれているので、ダイバーは水中で思うように動けるのです。
ダイバーの苦手ダイビングスキルトップ3に入る中性浮力も、自身のBCDの機能を改めて確認すれば上手に扱えるようになるかもしれません。