ダイビングは海の中の生き物を間近で楽しむことができる、魅力のマリンアクティビティです。

季節によっても海の透明度や見られる動物も違い、いつ行っても楽しめます。

しかし、季節によっては海水の温度に差があり水温が低い場合があります。

水温の低い海ではしっかりとした準備・知識がなければ、「ハイポサーミア」になる危険性があります。

今回はハイポサーミアがどのような危険性を持ったものか、予防方法なども併せてご紹介しましょう。

 

 

■ハイポサーミアとは

ハイポサーミア 低体温症

ハイポサーミアは、「低体温症」というとイメージしやすいかもしれません。

人間の体は一定の温度が保たれることで体の機能が正常に働いています。

人間の体が正常に機能する体温は37℃前後で、約35℃まで下がるとハイポサーミアの症状が出てきてしまいます。

ハイポサーミアの初期症状として挙げられるのは、手足の震えです。

夏の海でも天候などによっては唇が紫色になったり、体が震えたりすると思いますが、それはハイポサーミアの初期症状となります。

ハイポサーミアになると手足の震えが止まらなくなり、血圧、脈拍の増加を引き起こします。

体が中心部に血液を集中させようとする影響で、末端の血管が収縮してしまうのです。

ハイポサーミアが進行すると、自分では止まられないほどの体の震えに襲われる運動障害、判断力や記憶力が低下する意識障害が見られるようになります。

さらに症状が進行してくと震えは収まりますが、意識がなくなる、呼吸・脈拍が停止し、命に関わるような症状が表れます。

 

 

■海の中はハイポサーミアになりやすい

 

水の中は空気中に比べて熱電伝導率が良く、約25倍もの速さで熱を伝えます。

水温が27℃あっても何も身に着けないで水に浸かっていると、気温5.5℃の中にいるのとほとんど同じ状態になるのです。

冷たい海の中では陸にいる時とは比べ物にならないほどの勢いで体温が奪われていることになります。

時に人間の体は表面から熱放出し、頭部は放熱の割合が一番大きいです。

ダイビングは頭から足の先まで水に浸かっているので、熱が放出され続けているのは簡単に想像できるでしょう。

ダイビングや海水浴の場合は水から上がっても体が濡れているので、乾く時の気化熱で体温が段々奪われてしまいます。

海の中では日光が届かず、急激に水温が下がる「サーモライン」という深さがあります。

特に夏の海は海面が日光で温められているので、海中との温度差が激しいです。

 

 

■ハイポサーミアを防ぐには

ハイサポーミア 防ぐ

ハイポサーミアの危険性についてご紹介しましたが、ここからは予防するための方法を解説していきます。

 

・環境に合ったウェットスーツを着る

ダイビングでハイポサーミアを防ぐには、第一にその季節や気候に合ったウェットスーツやドライスーツを着ることが大切です。

気温がそれほど変動のない日でも水温の差が大きいことがあります。

気温だけで安易に判断せず、しっかりと水温も見極めて準備しましょう。

ブーツやグローブなどもしっかり着用し、なるべく外への体温流出を防ぐようにしてください。

 

・寒いと感じたらすぐに上がる

寒いと感じたり、体が震えてきたりした場合、体温の低下が見られます。

ハイポサーミアは初期症状の震えや血圧・心拍の上昇のうちに体を温め、適切な処置をすることが大切です。

寒いと感じたらすぐに上がり、風やウェットスーツの気化熱による体温低下を防ぐために着替えたり、ウィンドブレーカーなどを着用したりしましょう。

 

・体を温める

ハイポサーミアの予防にはとにかく今以上に体温を下げないために、体を温めることが大切です。

暖かい飲み物をゆっくりと飲むのは効果があるのですが、コーヒーやお茶などには利尿作用があるので、脱水症状に注意が必要です。

 

 

ダイビングで注意したい、ハイポサーミアについてご紹介してきました。

ハイポサーミアは早い段階で処置をし、進行を止めれば重篤化を防ぐことができます。

寒いと感じる前に適度に休息をとり、快適にダイビングを楽しみましょう。