ダイビングは海中ならではの美しい景色や、色とりどりの魚を見て楽しめます。
しかし、海という普段とは違う環境では、些細なトラブルでもパニックを引き起こし、危険な状況に陥ってしまうこともあるのです。
ダイビング資格の中にはトラブルや事故への対処法を学ぶものもあります。
今回は、ダイビング資格の1つである、レスキュー・ダイバーについて解説しましょう。
■レスキュー・ダイバーとは
レスキュー・ダイバーとは、「レスキュー」とついているようにダイビング中に起こり得るトラブルや事故への対処法を学んだダイバーのことです。
トラブルへの対処方法はオープン・ウォーター・ダイバーの認定の時に、ある程度学んでいます。
オープン・ウォーター・ダイバーが身に付けている対処法は自分でできるセルフレスキューですが、レスキュー・ダイバーはそれに加え、周りの人を助ける方法を身に付けるので、いざという時に人を助けられるでしょう。
トラブルを発生する前に未然に防ぐための知識を学ぶほか、事故の際の救命方法まで身に付けています。
レスキュー・ダイバーは講習の中で救助の方法だけでなく、ダイバーが失踪した際の捜索法や、水中だけでなく陸上での搬送の方法など、多くの場合を想定したレスキュー方法を学んでいます。
■レスキュー・ダイバーになるには
レスキュー・ダイバーになるためには特別な講習、試験を受けて認定される必要があります。
PADIではレスキュー・ダイバーの講習を受けるために二つの条件を出しており、その両方を満たしていなければ講習を受けることができません。
条件の1つ目が、アドベンチャー・ダイバー以上か同等レベルのCカード保有者であることです。
アドベンチャー・ダイバーとはPADIが定めているダイバーのランクで、オープン・ウォーター・ダイバーが24種類のダイビングから3種類のダイビングを修了した人に与えられるランクです。
2つ目の条件はエマージェンシー・ファースト・レスポンスプログラムを修了している人か、同等の修了者です。
エマージェンシー・ファースト・レスポンスとは事故などでケガをした人の応急処置や、心肺蘇生の方法などを学ぶプログラムで、水中を想定したものではありません。
この2つの条件を満たした時、初めてレスキュー・ダイバーの講習への参加が認められます。
■レスキュー・ダイバー講習
レスキュー・ダイバー講習の内容は学科試験と海でのレスキューの課題を10個、シナリオが2つとなります。
学科試験は文字通りの座学です。
座学でレスキューに必要な知識を勉強し、4択問題を50問解く「ファイナルエグザム」というペーパーテストを受けます。
レスキュー課題とは海洋でのレスキューの方法になります。
行方不明のダイバーの捜索法や、意識のないダイバーはどのような対応をすれば良いかなど、パターンに合わせて一つひとつレスキューの方法、スキルを実際の海で身に着けます。
最後に行うシナリオとは、より実践的なレスキュースキルの確認です。
実際のトラブルを想定し、学んだスキルを駆使し、レスキューの実技を行います。
このすべてをこなし、学科の合格ライン、シナリオで大きなミスがないなどの判定を受けるとレスキュー・ダイバーの認定を受けられます。
ダイビング資格の1つ、レスキュー・ダイバーについて説明してきました。
ダイビングで起こり得るトラブルを未然に防ぎ、仮に一緒に潜るバディにトラブルが起きたとしても適切な対処法を知っていれば、助けることも可能です。
レスキュー・ダイバーが取得できるとプロのダイバーへの道も見えてきます。
いざという時の対処、ダイビング技術をさらに向上させるためにレスキュー・ダイバーを目指してみてはいかがですか?