実はファンダイビングガイド養成コースは存在しない!?
『ダイビングインストラクターはなんでも出来る!!』と思っている方は多いのではないかと思うのですが、どうでしょうか。実は以外にそうでもなくて、まずはその理由から紹介していきます。
ご存知の方もいるかと思いますが、インストラクターになるためには『インストラクター養成コース』『インストラクター試験』というものがあって、PADIやNAUI、BSACやSSIなどのダイビング指導団体ごとに開催されています。
『インストラクター養成コース』『インストラクター試験』はライセンスコース(OWやAOWなど)を上手に開催する方法や安全管理、緊急時の対処法などを主に学びます。
逆に言うと、体験ダイビングやファンダイビングのガイドは教えてくれない!(正確に言うと浅〜くしか教えてくれない)
その為、ファンダイビングガイドになるためにはファンダイビングガイドが出来る人に教えてもらうしか方法がなくて、もっというと、インストラクターはダイビングショップに勤めなくてもなれますが、ファンダイビングガイドはダイビングショップで修行しなければなれません。
ファンダイビングは大まかなガイドラインしかないので、ショップごとに内容やサービスが違ってきます。つまり教え方もショップごとに違ってきます。
今回はBIGHOLIDAY独自の『ファンダイビングガイド養成コース』としてご紹介していきたいと思います!
0からのスタートでガイドとして案内できるようになるまでの道筋
まずは前提として下記のことを習得済みである事。
- 自分自身のダイビングスキルが十分である
- 緊急時の対応が出来る
この前提においてはダイブマスターやインストラクターを取得するときに備わる部分が多く、足りない部分はガイドデビューまでに埋めていきます。
さあ、ここからが本番!
BIGHOLIDAY独自のファンダイビングガイド養成コースは、『最短で高い質を持ってガイドデビュー』をテーマに、試行錯誤を重ねた末に現在の形に至っています。
昨シーズンまではボクが担当していましたが、今シーズンからは”なるき”が講師として就任しました。
現在のチャレンジャーは”まっちゃん”です。カメラを向けると見せる超反射的笑顔はさすが!!ですが、壁にぶち当たっている時はもっぱら眉間に深い深いシワが寄っています。眉間の日焼けムラが心配です。
写真のように、毎日課題を持って取り組み、毎日ショップに帰って来てから評価と改善を繰り返します。0からガイドデビュー出来るまでの期間は人それぞれですが、一朝一夕で出来るほど簡単ではないので、それなりの期間を要します。
昨日出来なかったことが今日は出来るように。今日出来なかったことが明日は出来るように。
この地道な積み重ねを実体験として経験値を蓄積しながらガイドデビューを目指します。
【第一ステージ】ダイビングポイントを覚える
ファンダイビングガイドは”演出家”とよくよく例えられるのですが、潜る前にはすでに『最高の感動ストーリー』が頭の中に出来上がっていて、水中ではその『最高の感動ストーリー』を再現すべく、準備をしたり伏線を敷いたり、突発的なイレギュラーに対応しながら『最高の感動ストーリー』を実現するのが理想です。
その”ストーリー”の土台となり、ガイドを目指す者が最初に着手するのが”ダイビングポイント”を全て覚えきる事。これを完璧にしておかないと、ストーリーどころではありません。予定は狂うし、先読みも出来ない。手探りで進むしかありません。
まずは伊良部島下地島の30以上あるダイビングポイントの地形とルートを頭に叩き込みます。これが超絶大変!!最初の難関です。
こんな感じでファンダイビングチームの最後尾からくっ付いてポイントを周ります。この時にはガイドの動きや対応は一切見ません。あれもこれも一度にやってしまうと、どれも中途半端になってしまうから。
それだけダイビングポイントを覚えるという事は難しいのです。思い出して見てください。潜って40分そこそこで気が付いたらボートに帰ってきてるという体験はありませんか??
水中は方向感覚が狂いやすいので、初期段階での感覚はまったく役に立ちません。毎日ガイドをして一年も経てば一発で覚えられるようになるのですが、最初からそれが完璧に出来る人には会ったことがありません。
こんな感じで水中でまな板に鉛筆で地形や目印を記入し、時にはカメラで撮影しながら記憶していきます。このリアルタイムで記録していくというのが結構重要で、
人間の記憶って実に曖昧で、細かいところは結構忘れてしまいます。特に水中では少し前の記憶を司る部分が酸欠になってしまうのでなおさら。そういう体験ありません??その日のダイビング写真をあとで見返したら、『あ、こんな事も会ったな。あんな事もあったな』と。
そして水中で記録したものを帰って来てからノートに起こします。
【著者:ゆうま】
なに書いてるかわかんないですね!!!字も下手クソ!!でもこれでいいんです。書いた本人がわかればOKで、絵を書くのが上手がどうかはあまり関係ありません。
出来るだけシンプルに、必要情報がもれなく記載されて入ればOK。実際ゆうまの地図はGOOD。一周回って洗練されていますね。地図を描くメリットは以下の通り。
- 記憶の曖昧さを排除し正確に覚えられる
- ”描く”という行為でインプットを高める
- 新たな発見や修正を上書き出来る
- 使用頻度の少ないポイントも直前に確認可能
- ポイント理解度を講師と共有出来る
【著者:なるき】
ノートがカビてて汚いですね。この地図って、覚えるためのアウトプットで書くだけが目的じゃなくて、記憶が曖昧なほど久しぶりのポイントに行く時にも活躍します。
特にポイントを覚え始める時にはいろんなポイントが頭の中でごっちゃになりやすいので、潜る前に確認のために見たりもします。そのためいつも持ち歩くことになるので結構ベチャベチャに。。
【著者:まっちゃん】
こちらはすごいクオリティですね。このまま色を付けたら販売できそうだ。この地図は理解度の共有にも一役買っていて、わかる人が見ると、どのくらいそのポイントを覚えてるのかとか、どのくらいポイントを覚えるのが上手になっているかもわかります。
ちなみにこのポイントは『中の島チャネル』というポイントなのですが、このポイントを別の人が書くとどうなるか。
【著者:たっくん】
もはやファンタジスタの領域。とてもまっちゃんの書いたポイントと同じ地図とは思えません。しかし、この地図でもポイントを覚えられて、なおかつアップデートがちゃんとできれば問題ありません。
ちなみに海の中の景色って、始めは見るたびに結構違って見えるので、その度に修正箇所を書き換えて最新のものにアップデートしていきます。
これらの事を繰り返すうちにポイントを覚えるコツや、要領を得てくるので、ダイビングポイントを覚えるスピードも倍速、倍々速になっていきます。
そして地図がある程度完成されて頭に入ってきたら、次は自分一人でコースを周ります。ここが結構重要で、『車の運転、助手席だと道を覚えられない理論』が作用しているので、一人で周ると景色が違う事を実感します。
数回周って、このギャップを埋められれば、ダイビングポイントは正確に頭に入るのでこのステージは卒業となります。
最大のテーマは『最短で高い質を持ってガイドデビュー』なので、曖昧な記憶だけに頼らず、こういった地味な努力の積み重ねが大きな成果を生み出します。
【第二ステージ】セオリーに沿ったガイディング(ゲスト2名まで)
ダイビングポイントを満遍なく覚えてきたら、次は実践に入ります。ここで初めてガイドの一連の流れを先生の影から観察します。ある程度の回数を観察したら、いよいよ実践。
BIGHOLIDAYではファンダイビングの訓練前に、シュノーケリング、体験ダイビングのガイドをマスターしているので、ある程度、最低限のトラブルには対処出来るようになっている前提。
ここからは実践の中で、ブリーフィングから始まり、ファンダイビングに特化した地形ダイビングに楽しみ方やトラブル対処法、ストーリーの組み立て方、大きく括ると宮古島の地形に沿ったベストガイドの基本を学んでいきます。
このステージからガイドデビュー直前までは、先生が必ずチームの最後尾に付いて、一定ラインのサービスが保てるよう、必要ならばサポートします。
【第三ステージ】初心者&ブランクダイバーに特化したガイディング(ゲスト2名まで)
ここからが鬼門!なぜなら、宮古島の水中は起伏に富んだ地形が広がっているので、水深のアップダウンが激しい!!平坦な砂地やサンゴがメインのポイントに比べると、地形ポイントはエアの消費は多くなりますし、BCの操作の回数も増えて浮力調整も難しくなります。
つまり一般的な他のエリア(沖縄本島や石垣島、その他のエリアのビーチポイント)に比べると、宮古島の地形ポイントは難易度が高くなるので(その分、感動もデカい!!!)、初心者やブランクのある方にはちょっとした準備とコツが必要となってきます。
そしてお客さま自身で苦手意識を持っていることや、お客さま自身がまだ気付いていないストレスを徹底的に取り除くことも、このステージでの重要課題。ここを上手に解消できれば必ずダイビングがもっと楽しくなりますから!
そうして初心者やブランクダイバーの方にも世界に誇るダイナミックな地形ポイントを堪能してもらえるわけです。魔王の宮殿だってみんな行けちゃいます!!
【第四ステージ】初心者&ブランクダイバーに特化したガイディング(ゲスト5名まで)
例えば初心者&ブランクダイバーの方を2名案内するのと4名案内するのとではなにが違うのか。単純に工数は2倍になります。ただ2倍の労力になるのならまだいいのですが、しっかりご案内する難易度としては3倍、4倍に膨れ上がります。
ダイビングガイドは”物”ではなく”人”を相手にしますので当然といえば当然ですね。
例えば2名にクマノミを紹介するのと、4名にクマノミを紹介するのとでは数字以上に違って、クマノミを見るだけでも自分がどこに位置してお客さまをどこに案内して観察するのか。
また、狭い洞窟の中で光が射す景色を見る時に、どういう配置でどういう順番で案内するのか。
いろんなメンバーで、いろんなシチュエーションで無限にパターンが出てくる中、いかにベストを選択できるようになるか。厳密にいうと100%ベストを選択し続けられる人はいないので、
目標は、いかに100%ベストに近づけるか。これが”50%”ではガイドデビューはまだできません。このステージではパーセンテージを先生と二人三脚でひたすら上げていく作業となります。
///////ガイドデビュー///////
そのパーセンテージが90%となった時、本当の”ガイドデビュー”となります。ここからは全ての責任を一人で背負い、逆に言うと先生の厳しい目から解放されて伸び伸びできることになりますね。
晴れてこのホワイトボードに自分のガイド名が刻まれます。
しかし、ここが本当の意味でスタートライン。本当に大変なのはこれからなのです。
最終ステージ 『様々な好みやニーズに応えられるガイドを目指そう』『自分の個性を発掘&伸ばして自分らしいガイドを追求』
ガイドデビューまでは教えてくれる人がいるので、伸びしろを埋めていく作業は割とスイスイ進みますが(と言ってもかなりのボリュームがあります)、
ガイドデビューしたての人から超ベテランガイドまで、全てのガイドがこのステージに立っていて、このステージを降りるときはそう。ガイドを辞める時。
その時まであらゆるニーズに応えられるよう日々研鑽し、精進していく毎日です。”出来る”だけではなく”ベスト”を目指すのはどんな仕事でも一緒ですね。
さらにただのオールマイティガイドでは不十分。キラリ光る個性を探す事、伸ばす事が大切。
例えば、生物紹介が得意なガイド、ダイビングを教えるのが上手なガイド、カメラに強いガイド、笑いを追求するガイド、大物遭遇確率が高いギャンブルガイド、優しいガイド、厳しいガイド、ファンタジスタなガイド。などなど、
”自分らしさや自分の好きなもの”を追求すると、そのままそれが個性となります。
お客さまのニーズに応えつつ、キラリ光る個性でワクワクしてもらう。その為の努力の両輪を回し続ける事が大切。一人前のガイドでも日々ガイドしながらそのレベルを極限まで高められるよう試行錯誤しながら過ごします。
終わりなき旅ですね。これもどの仕事もそうなのかもしれない。
未経験からガイドデビューまでにかかる期間
ここまでざっと『ファンダイビングデビューまでの道のり』をざっと紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
かなり省略した内容となっていますが、他にも安全対策や生物紹介の方法、地形ポイントの魅せ方、チーム毎の連携などなどなどなど、ここでは書ききれないほどのボリュームになっています。
これだけの内容なので、未経験からガイドデビューにかかる期間は本当に人それぞれ。
その期間を短縮させる唯一の方法は、
情熱を持ち、小さな努力を積み重ね、今日出来なかった事を明日は出来るように準備する。
残念ながらガイドになる為の近道や裏技はありません。だからこそ目指し甲斐があるし、目指す道中の挫折感や充実感も特別大きい。デビュー出来た時の達成感と、これから始まるガイド道に身が引き締まる緊張感。
先頭にいるからこそ見えてくる景色。誰かの後ろから付いていくのとは全く違う世界。
私たちBIGHOLIDAYは、その世界を目指す人たちを応援する準備があります。
『ファンダイビングガイド養成コース』だけではなく、ファンダイビングガイドになるまでの生活面での支援制度があり、その制度も常にバージョンアップを繰り返し、より良いものにしたいと思っています。
もし、ご興味があれば是非ご連絡ください。あなたの応募をお待ちしてます!!
宮古島への持ち物は、情熱だけで結構です。
ではまた明日。