ダイビングというのは海の中へ潜ることから圧力がかかるものです。
体の中でも特に耳は圧力の影響を感じやすく、水中に潜った時に圧迫されたような感覚を感じた人は多いでしょう。
圧迫されたように感じた時は耳抜きをするのが対策となりますが、もしも耳抜きを失敗してしまったらどうなるのでしょうか?
そこで今回は、ダイビングで耳抜きに失敗してしまった時の対処法についてご紹介していきます。
■海中で耳抜きに失敗すると中耳炎に…
海中では深く潜れば潜るほど体へ大きな圧力がかかるようになっています。
特に深い場所は耳の鼓膜が圧迫されるようになり、耳の内部と外部との間で圧力に差が出ることから、耳がムズムズしたり、こもったような違和感が表れたりするでしょう。
そんな時に行うのが、耳抜きです。
耳抜きをせずに潜り続けたり耳抜きに失敗したりすると、耳へかかる圧力と内部の圧力を等しくすることができずにスクイズという現象が起きてしまいます。
スクイズは耳の閉塞感や難聴、耳痛を引き起こす圧迫障害のことです。
それらの症状が伴う場合には「潜水中耳炎」になり、症状が強いと医療機関に受診しなくてはなりません。
■潜水中耳炎を治すには?
軽度の潜水中耳炎であれば2、3日安静にしていれば治る場合がほとんどです。
しかし耳痛を感じるようなひどい症状や、48時間以上経っても回復する傾向が見られない場合には耳鼻科に行きましょう。
医師に症状を伝える際には必ずダイビングの際の耳抜きについて述べるようにしましょう。
潜水中耳炎は耳に薬を注入したり、安静したりすることで症状は軽くなっていきます。
中耳炎になる理由にはダイビング以外にも様々なものがあり、医師によっては鼓膜に穴を開けて治療を行うという人もいるようです。
鼓膜に穴を開けるようになると通常1週間前後で治るはずの潜水中耳炎が完治までに1ヶ月もかかってしまいます。
来院する際は、ダイビングの耳抜きの知識を持っている医師を選ぶことをおすすめします。
■鼓膜の破損や外リンパ瘻には要注意!
潜水中耳炎であれば早い回復が見られますが、注意すべきなのは鼓膜の破損と外リンパ瘻です。
これらは無理やり耳抜きをしてしまった場合や、耳抜きをせずに深くまで潜った場合に見られるものです。
症状としては中耳炎とは比べ物にならない傷みが耳を襲い、「バリバリ」や「パンッ」というような大きな音が耳から聞こえ、めまいも起こしてしまいます。
そうなるとダイビングどころの話ではなくなり、すぐに医療機関へ行く必要があります。
鼓膜の破損であれば、鼓膜が完治すれば以前のようにダイビングをすることは可能になります。
外リンパ瘻と診断された場合、医師によっては「もうダイビングはできない」と告げられてしまう人も少なくありません。
鼓膜の破損や外リンパ瘻はとにかく安静にすることが重要です。
外リンパ瘻の場合は半年以上安静にしなくてはならないケースもあります。
治らないうちにまたダイビングを行うのは非常に危険な行為なので、絶対にしないようにしましょう。
外リンパ瘻と告げられた人でもダイバーとして復帰している人はいるので、完治させることを第一に考えましょう。
耳抜きは初心者ダイバーにとって大きな関門と言えます。
しかし、しっかりと耳抜きができないうちに深く潜るのは非常に危険です。
潜水中耳炎や鼓膜の破裂、外リンパ瘻が起きる可能性が考えられます。
軽度の中耳炎であれば自然と治っていきますが、症状があまりにもひどく感じる場合には医師に相談しましょう。
耳抜きをマスターすることで、耳に影響を及ぼさない安全で楽しいダイビングができるようになります。
耳抜きを練習する方法やアイテムなどもあるため、まずは慣れることが大切です。