ダイビングでは耳抜きの失敗や、耳抜きをしなかったことによる耳痛はよく聞く話ですが、眉間の奥に痛みを感じる「サイナススクイーズ」について知っている方は少ないでしょう。
今回は、ダイビング経験者でも感じたことがあるかもしれない「サイナススクイーズ」についてご紹介していきます。
原因や予防法を知り、痛みのない楽しいダイビングができるようにしましょう。
■サイナススクイーズとは?どんな原因で起こるのか?
サイナススクイーズとは、眉間や鼻の奥が痛む症状を指します。
サイナスとは頭蓋骨に空いている空洞の副鼻腔です。
副鼻腔には空気が通るようになっており、潜った際には海中の圧力を均等化する役割を兼ね備えているため、基本的に水中へ潜っても眉間や鼻の奥が痛くなることはありません。
では、一体なぜサイナススクイーズが起きてしまうのでしょうか?
・風邪やアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎の症状が見られる
サイナススクイーズは副鼻腔に空気が通れないことにより起きてしまいます。
原因としては、元々風邪やアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎になっていた可能性が挙げられます。
炎症により副鼻腔の空洞が閉鎖されてしまうと、体内の圧を均等化できなくなり周辺組織が傷んでしまいます。
陸上では炎症を感じていなくても、圧の負担が大きくかかる水中では、その影響が大きく表れるのです。
・前日のアルコール摂取量が多かった
アルコールには水分代謝を悪くし炎症時の鼻水の粘度を高めてしまうことから、鼻づまりを悪化させてしまう要因とされています。
そのため、ダイビング前日に多くのアルコールを摂取すると、鼻詰まりを引き起こしサイナススクイーズが起きやすい状態を作ってしまいます。
・疲れが溜まっている
連続して行うダイビングは自分が思う以上に身体へ負担をかけています。
疲労が溜まってしまい調子が悪くなってしまうという人は多いです。
体は疲れが見え始めると一過性の急性鼻炎を起こすことがあるため、疲れが原因でサイナススクイーズにかかってしまいます。
■サイナススクイーズは耳抜きのように予防できないのか?
残念ながらサイナススクイーズは耳抜きのように自力で副鼻腔の圧力を変えることができないため、予防線を張っておくことは難しいです。
ただし、まったく対策できないというわけではありません。
ダイビングを行う場合には、しっかりと睡眠を取って体調を万全に整えてから挑みましょう。
前日の飲酒は控えるようにし、少しの風邪症状が見られる場合はダイビングを行わないことを心掛ければ、痛みとは無縁のダイビングも可能となります。
■サイナススクイーズとなったら病院に行くべきなのか?
サイナススクイーズとなり、額や目の周りが強く痛むようであれば医師にかかることをおすすめします。
ただ、潜水医学に詳しくない医師に依頼してしまうと原因が分からないと診断されてしまうことがあります。
医療機関へ行く場合にはダイビングの知識を持った医者にかかるようにしましょう。
治療法には、顔に温湿布を貼ったり、アセトアミノフェンという疼痛治療薬が用いられたりします。
強い痛みの場合には症状が回復するまでダイビングは避けるべきです。
サイナススクイーズにかかったまま潜水してしまうと、さらなる痛みやめまいなどが伴い、命の危険にまで及んでしまう可能性もゼロではありません。
今回は、サイナススクイーズについてご紹介してきました。
サイナススクイーズは風邪やアレルギー、副鼻腔炎の症状が見られる人には誰でも起こりうる可能性を持っています。
ダイビングをする前には今一度しっかりと体調チェックを行いましょう。
万が一かかってしまった場合は、医師に相談し適切な処置を受けるようにしてください。