こんにちは。トッティです。今日は海でテンション上がりきって昇天したのでブログ更新です。透明度も30mオーバーで太陽サンサン、波も穏やかで文句なし!
一年中こんなんだったらと思うけれど、それはそれで慣れて有り難みが無くなるのが人間の性。悪い時もあれば良い時もあって、もし良ければ丸儲け。そんな時は心を解放して行きましょ!
ダイビングポイント:悪魔の館とは
下地島にあるポイント。通り池の横にあります。有名どころか、宮古島で何度も潜っている人でさえ名前も知らない人が多い。それもそのはず。
”特異”なダイビングポイントゆえ、宮古島のガイドですら普段はポイントの選択肢にすら入っていない。半分忘れ去られたようなマイナーポイントだから。
普段使いすることの出来ない理由はすこぶる難易度が高い。
悪魔の館|ポイントの見所
水深-35mから-5mまで切り立つドロップオフ(崖)の最深部に入り口があり、そこから下地島の内部へ潜入!入り口の青い光が徐々に薄くなり、ある程度進むとそこはもう漆黒の闇。
進むべき道を差し示す光源は己の水中ライトのみ。
ライトは一人一本はマスト。みんな2本あればBESTだけど、事前予告で行けるポイントでもないのでなかなか難しい。そのためガイドのボクは計3本のライトを持って行きます。
ひたすらケーブの闇の中を深い水深が続き、それを越えると中間深度に。この辺から湧き水がたくさん出ているので浮遊物は沈殿し、驚くほどクリアな世界が広がります。
それはまるで水の中にいることすら忘れてしまうような感覚で、宇宙空間を彷徨っている気分。そこからさらに水深を上げていく。
このエリアからが本当の見所。あたりの壁の岩の質感が変わってくる。水深-35mから海抜0mまで上がっていくのだから、様々な地層を見ながら、
それは長い年月をかけて隆起したサンゴ礁の歴史をギュッとこの一瞬で早回しで見ているようなもの。
なんと浪漫のあることか。
そして目標地点到達となる。海抜0mはもうすぐそこだ。
この先に待ち受ける世界は・・・。
悪魔の館の難易度はSSS級で宮古島異形ポイント最難関!立ちはだかる5つの壁
ポイントの見所概要でわかる通り、ダイビング+閉所洞窟探検で水深も深い。宮古島の地形ポイントは数あれど、圧倒的に高難易度。その理由は以下の通り。
1.エア残量と無減圧時間の壁
エントリー0m → 水深-35m → 洞窟内部浮上0m → 水深-35m → エキジット0mというダイブプロフィール。仮に洞窟内部浮上0mまでに残圧100となった場合、そこでちょうど半分なので同じペースでエキジットすると単純に残圧0。
中間地点で残圧90なら、エキジット時には残圧-20。つまりボートにたどり着く前にエア切れとなる。
万が一を考えるとセオリー通り残圧50残しでとなると、中間地点までに使えるエアは75。つまり最低でも残圧125で中間地点に到達したい。
エントリーして-35mまで行って0mまで浮上する。ここまでで残圧125以上残すには中級者でも難しい。
無減圧時間にしても水深-35m付近に数分滞在を2回行うので、水深-35mのダイビングポイントに2回潜るようなもの。無減圧時間もエアもギリギリとなり、
上級ダイバーですらミスは許されないミッション。それほどの高難易度。
2.チームメイトのスキルの壁
複数人で潜る場合は、全員で息を合わせて行かなければならない。一人でもトラブルが出れば、即座にその場でUターン。人数が増えれば増えるほど難易度は倍増する。
上級スキルのあるゲストが揃わなければ、チャレンジすら出来ない。
3.中性浮力の壁
中性浮力が取れなければ、エアの大量消費により往復分が確保できなくなる。またこういった洞窟を濁らせてしまうと最悪帰り道すらわからなくなってしまうことになりかねないので、
ほぼ着底せずに1DIVE潜りきる。中性浮力無くしてそれは成し得ない。中性浮力のマスターは必須である。
4.耳抜きの壁
0mから-35mまで潜降するシチュエーションが2回。1回目でつまずけばポイントに行けないだけで済むが、2回目のシチュエーション、つまり帰りの再潜降でつまずくと困る。
もたついている間に予備の50を使ってしまったら洞窟から出られなくなる。もし本当にそうなればエアがなくなる前に洞窟内に再浮上し、助けを待つほかなくなる。考えただけでぞっとする!
5.暗闇の壁
ある程度の光量のライトが必要。照射範囲の狭いスポットタイプでは遠くまで照らせるが足元は見えない。ワイド照射タイプの大光量ライトがおすすめ。
もしなんらかのアクシデントで、ライトがない状況になると・・・
漆黒。文明社会の昨今では暗くてもどこかしら光があり、漆黒の世界を体感する機会が実はない。しかしここはライトがなければ黒だけの世界。目が慣れるとかの問題じゃない。
光自体がないのだから。
リクエストを頂いても、行ける確率は0に近い
年に数回しか潜れないのは上記した難易度が一番の理由で、逆に行ける条件としては以下の通り。
- どんなポイントでもエアに余裕を持って帰ってこられる
- 中性浮力や耳抜き、フリー潜降浮上など何も心配なくダイビングができる
- 多少の水中トラブルは落ち着いて対処できる
- 水中ライトを持参している
- 上記の全てを乗船ゲスト全員が満たしている
- 乗船ゲスト全員のスキルレベルをガイドが把握している
- 風が穏やかな時
- 流れが無い時
ざっとこんな感じですが、かなりハードル高め!!狙ってコンプリートできるものでもないので、是非期待しないでください。閑散期の平日など乗船ゲストが少ない時にチャレンジできる確率は上がります。
行ければラッキー!的な感じなので忘れてください。ボクも忘れます。
最後に待ってるのは希望か絶望か
このポイントを何かに例えるなら”パンドラの箱”。はじめに箱から飛び出してくるのは閉塞感、漆黒、不安、未知の生物、貯蔵されている泡盛です。
最後に箱の底に残っているものは希望か絶望か。浮上してみて最後にそれは分かります。
潜ったことのあるゲストは99.9%が大興奮。何度も何度も『凄いっ!!!』と連発!ある者は笑いが止まらず、ある者は絶句し、ある者は取り憑かれたように忘れられなくなる。
数多の上級ポイントを制した猛者でさえ、虜になる魔性の魅力。それが”悪魔の館”。
もし行ける機会が訪れたなら、あなたは超絶ラッキーだ。
ではまた明日。