ルールを守ってダイビングを楽しんでいても、その日の体調や海の中でも動きによって体調不良を引き起こす可能性もあります。
特にダイビングでよく起きる不調の症状として挙げられるのが、「減圧症」という障害です。
減圧症は自分で対処できる時とそうでない時があるので、適切な処置法を知っておかなければなりません。
そこで今回は、減圧症になった時の正しい対処法をご紹介していきましょう。
■減圧症の症状は?
減圧症という言葉は普段聞きなれないので、どのような症状なのか分からない方も多いでしょう。
ここでは減圧症とはどんなものなのか、主な症状も合わせて見ていきます。
・減圧症はどうして起こる?
主な発症の原因として考えられるのは、深い所から陸上へ上がる時に体内の水圧が気泡に変わることです。
水中にいる時は問題ありませんが、陸上で気泡に変化した窒素が体内の血管・神経を圧迫すると減圧症を引き起こします。
海の中へ深く潜るほど陸上との差が大きくなり、体内に留まる窒素の量が増えるので症状が重くなる傾向があります。
・減圧症の主な症状
症状が軽い時は体の表面に症状が見られ、筋肉・関節の痛みや皮膚のかゆみ、発疹などが特徴的です。
重い症状の場合は体の内部への症状も現れ始め、呼吸困難・しびれ・胸の痛み・力が入らないなどが見られます。
最悪の場合死に至ることもあるので、迅速かつ適切な処置を行う必要があるでしょう。
■減圧症になった時の対処法
ここからは減圧症になった時の対処法について、症状が軽度の場合と重度の場合で分けて解説していきます。
・症状が軽度の場合
すぐにできる対処法としては、100%の酸素を吸引させてから水分補給・薬の服用などが効果的です。
軽い症状であれば、応急処置をしてしばらく安静にすることで徐々に回復していく場合もあるでしょう。
・症状が重度の場合
もし重い症状が見られた時は、体内の窒素を取り除き酸素を吸入する「高気圧酸素治療」が必要となります。
高圧酸素療法を行えば体内の空気が入れ替わり、早期回復が期待できるでしょう。
しかし、日本では高圧酸素療を取り扱う医療機関が少なく、必要な治療が受けられない場合もあります。
海の近くに高圧酸素療治療を扱う医療機関があるかどうか、あらかじめ調べておくと良いでしょう。
軽度・重度それぞれの対処法を解説しましたが、症状がどの程度なのか自分で見極めるのは難しいのではと感じる方もいるでしょう。
まずは応急処置をして念のために医療機関で診てもらえば、どのような状況か確認でき適切な治療を受けられます。
■未然に発症を防ぐには
ここまで減圧症の原因や症状について見てきましたが、最後に減圧症の発症を未然に防ぐためのポイントを解説しましょう。
・深い所から急いで陸に上がらない
水圧が急激に変動することによって減圧症が引きおこるため、深く潜った所から急いで陸に上がるのを避けます。
ゆっくり上がればそれだけ水圧の変動が緩やかになり、発症しにくくなるでしょう。
・十分な水分補給をする
減圧症は脱水状態も原因と考えられているので、ダイビング前に十分な水分補給を行いましょう。
ただ多く飲むだけでは体内に留まらないため、こまめに少しずつ飲むのがポイントです。
・体調を整えておく
元々体調が悪い状態だと減圧症が重症化するリスクもあり、体調を整えておくことも大切です。
せっかく来たから多少体調が悪くても大丈夫と油断せず、少しでも不安がある時はダイビングを控えましょう。
減圧症は水中と陸上との気圧変動によって発症する障害で、重度化した場合は命に関わる可能性もあります。
もし症状が現れた時は応急処置を行い、医療機関での適切な治療を受けるようにしましょう。
発症しないためには泳ぎ方や水分補給、体調管理に気をつけて、安全にダイビングを楽しんでください。